4期Blu-ray Box特典SS感想

 ご好意で読むことがかない、簡単な感想文を書きました。

・昔、「あそこそ」連載時に、蒸気機関といっても際限なく燃料を積めるわけでなし、原大陸までどれだけかかるかわからない航海にどうするんだろう……と思っていたらそういうことか。どんよりする話だ。

・メッチェンは外輪街の住民に型通りの接し方をしていたのに、ジェイクからはある程度の信頼を得ていた。彼がネイムを怪しんでいたのもあるにせよ、門番のメッチェンへの態度などからしても、彼女は人気があるのではと想像されるものがあった。そしてそれは彼女の人柄ゆえというより「若い女の神官」だからでは、と邪推を働かせていたら、なんかまじでそんな雰囲気が。「(市民から)愛された妻」の「愛」とは偶像に寄せられるものだったりしてなという、嫌な想像。

・この話は、おそらくサンクタムとやりあった直後と思われる。あのあとに手紙を書こうと思いつき、そして書けないと認識した、ひょっとしたら認識しなおした心情やいかに。

・なにも残ってる気がしないのは心情としてその通りだろうと受け止めるのだけれども、個人としてのみ納得したらそこでピリオドを打ち、周囲にけじめをつけないままでいるから恨まれるのでは。だから「レティシャを二度捨てた」という台詞に至るのだろうが。

・「終端」を読んだときのぼく「来たかじゃねーんだが?」
特典を読んだときのぼく「別れないじゃねーんだが?」
信じることは愚か。疑うことは賢い。だがどちらも同じこと……。とはいえ、マジクが勘定に入ってたことに安心した。

・そりゃ怖いよね。で、そういう不安を抱えている人間はなにもサルアだけではないだろうし、恐怖から逃れるためになおのことメッチェンへの信奉が募るのかもしれない。

・キエサルヒマでは、学校に通っていたら「人間種族は三百年前に漂着した」くらいの知識は学ぶと思われる。それでも外洋がどうなっているのか、ここのほかに陸地はあるのか、出ていけるのか……ということに興味を持つ人間はわずかだろう。「外」があると知っていても「内」で完結しているという点では、キエサルヒマの人間種族は神殿街の住民と相似形といえる。

・「やるべきことのため」、目標への明確な意思があるならそれは移動であり旅ではない。妹を見つけ出すために出発しつつ、どうすればいいのかと答えを得なかったマヨールは、まさしく第四部「はぐれ旅」の主人公だったのだろう。

・主人公氏、「友人」認識をした相手にはこういう態度取るんだあ。そっかあ。

・「鋏」を読んで以降、「友人……友人とはいったい……」などとぐねぐねしていた人間に、「こうです」とあっさり出されたら「グエー」としか言いようがございません。

・わたくし、主人公氏については「そりゃ恨まれる」「ちょっとくらい謝ってもバチは当たらねーぜ」などと申してきましたが、ことサルアに限っては半ば自業自得なんじゃ……とにらんでおり。

・忘れると言うけれども忘れないんだろうし、こういうやりとりを覚えているからこそああなったんじゃない?

・主人公氏、これちょっとぐっと来てたりするのとちがうか。

・最後のやり取りはどちらがどの台詞を言ったのかぼかしてある。彼らが、そしてもっと大勢の人間がたどりつき築き上げたそこは故郷たりえたのか。……と、キエサルヒマの方を向いて建てられた墓標のことを考える。

・ところで最近のわたしのトレンドは、失脚して追放され、流れ流れてもはや住む者もほとんどいないキムラック跡地にたどり着いて斃れるサルアというやつなんですよね、ほらどうもサルアは「内に籠る」「堂々巡り」するがわの人間っぽいじゃないですか(オタクの早口)。

 

 どうも最終回に「終端」をやるのでは、という雰囲気が出てきたあたりで「つまり……もしや、出る!?」「まさかそんな」「原作で出てるんだからそりゃ出るだろう。再構成する方が労力かかる」「25分の間にやらなくちゃいけないことが多すぎる。はしょられるのもやむなし」「わかった! 最初からこの話はなかったことにしてくれ!」と右往左往していたら本当に出てきた。そのうえこの特典。短期間で矢継ぎ早にあまりにも高濃度のサルアを摂取してしまった。これはまさしくサルア酔い。ミギャー(奇声)。